【日経】

日本企業の社員、比セブ島で英会話 研修費、欧米の半額以下


 【マニラ=佐竹実】英語を公用語とするフィリピンの中部セブ島で、社員の英語研修をする日本企業が増えている。欧米に比べて研修費用を半分以下に 抑えられるのが利点で、旅行会社大手のエイチ・アイ・エス(HIS)などが社員の留学に活用。フィリピン政府も日本などからの語学研修を雇用創出や観光振 興につなげる「教育ツーリズム」に力を入れている。

 

 日本大使館によると、セブ島で英語を学ぶ日本人は9月時点で約700人。1年前の2倍に増えている。欧米に比べて人件費や滞在費が安いのが魅力で、数週間の研修費は宿泊費や食費込みで10万~17万円という。

 

 エイチ・アイ・エスは今年6月から、社員数人をセブ島に留学させている。1日10時間近くマンツーマンの授業が受けられ、費用も欧米に比べて5分 の1程度で済むからだ。「グローバル展開に語学力が追い付いていない」(人事グループ)と考えており、派遣社員の増員も検討している。

 

 法律事務所最大手の西村あさひ法律事務所(東京・港)は、来年度から新人弁護士をセブ島に派遣する。所属弁護士の英語力の向上に力を入れており、 来春入所する20人前後を3~4週間留学させるという。このほか、麻生ラファージュセメント(福岡市)なども社員研修に活用している。

 

 日本企業に加え、韓国企業などもセブ島で社員研修を実施しており、フィリピン政府は「教育ツーリズム」に取り組んでいる。留学生が増加すれば週末を利用した観光需要が見込めるほか、フィリピン人講師の雇用が増えるためだ。